ひなたエキス│鳥海とライフ

ひなたエキス/須崎 裕
(秋田県秋田市)

「秋田弁のヒアリングはばっちりです」
そう語るのは株式会社hinataの代表で、大阪出身の須崎裕(すさきひろし)さん。
今でも基本は大阪弁の須崎さんは、国際教養大に在学中の2014年、秋田でインバウンドに主軸を置く旅行会社「Travel Design」を起業する。
2021年、社名を「hinata」とし業態を変更。田沢湖、玉川温泉、田沢湖高原へのルートが交差する十字路に、スムージーやポタージュを販売する「ひなたエキス」を出店しました。
今回は、秋田の素材とポテンシャルに注目し続ける須崎さんにお話を伺いました。
 
大学に入学し、やって来た秋田。寮住まいで当初の移動手段は自転車のみ。
もともと自然の中で遊ぶこと、過ごすことが大好きで、岩見三内の滝と清流に癒やされ、岩見温泉での地元の方との交流が楽しかった。
最初は聞き取れなかった地元の人の言葉=秋田弁も徐々にわかるようになってきた。
こうやって4月に自転車でリサーチしたスポットに、5月には外国人留学生たちを案内していた。
「秋田すごいよね!面白いよね!」という純粋な思いは、言葉や文化の壁をたやすく超えていった。
そこから先は県内くまなく様々なスポットをまわった。自然も文化も人も、とにかくワクワクの連続。
鳥海山に登ったときはやっぱり「鳥海山すげー!」となり、すぐに留学生を連れて再び登った。
留学生にとっては秋田の自然・文化・風土が異文化として、より心に響くものがあった。
広々としたおしゃれな店内
実は旧知の仲の二人

 

「自然の中にいると、自然の中の自分の存在を再認識させられる。まるで動物に戻ったような感覚」
そんな秋田を遊び極めた学生時代の経験から、「どうですか、秋田すごいでしょう」という思いのつなぎ役として、在学中の2014年、Travel Designの事業が動き出す。
そして2021年、業態を変更し、社名もhinataに変更する。

「インバウンド事業を行ってきて、明確に課題を実感した。世界と地域をつなぐサポーターはいらない。地域を変えるには自分自身がプレーヤーになる必要があった。そして当事者として自分がやるほうが、地域の人々から返ってくるレスポンスの熱が高くなる事に気づきました」

外からの視点で、秋田のいいところも、残念なところも知り尽くし、さらにはサポーターからプレイヤーにポジションを変え、今まさに、秋田の素材をおおいに活かして事業を展開している。
秋田のフルーツや野菜のエキスがぎっしりと詰まったスムージーやポタージュはリピーターを呼び込み、新たな地域の名物、そして秋田の名物として人気を博している。
 
しいたけのポタージュはオンラインショップでも人気
濃厚なしいたけのポタージュ

「秋田は使われていないリソースだらけ。都会にはないものが溢れていて、日々ワクワクする」

田沢湖での出店からわずか1年の2022年、勝手知ったる土地、秋田市雄和に出店した。
出身大学に隣接するその場所は、学生寮の真ん前。原点とも言えるその場所から、新たなるチャレンジを続けている。
ここなら大学生を人手=アルバイトとして頼ることもできる。なにしろ通勤が徒歩数分だ。

イチゴはジャム作りに
ブルーベリーも
にんじんとトマトのジュース
新商品です!

「地域のフルーツなどの農産物、それも規格外だったり、出荷時期の短いものを加工して販売するというスタイルは、システム化して展開が可能です。県外へ、海外へ、先を見据えています。やっぱり日々ワクワクします」

ひなたエキスはこの夏、乳頭温泉郷 鶴の湯内に出店した。
県外からのお客様が多く訪れる施設で、Made in AKITAを押し出している。
須崎さんが秋田にやってきて、秋田の自然と文化と人に触れて感じた胸の高鳴りと、それを周りの人にも伝えたい、共有したいという思いが、生み出される商品に結実している。
そしてそれが人々の手に届いている。

やっぱり日々のワクワクが原動力なんですね。



Interview / 松本 学、Write, Edit & Photograph / 齋藤 渉

ひなたエキス 公式HP https://www.hinataekis.com/
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「ここで生きる」は様々な偶然と選択で出来ている
ここで生まれたから、ここが好きだから、ここしか知らないから、ここは居心地がいいから…

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