Leather & Diner knc│鳥海とライフ

Leather & Diner knc/木内 正信
(秋田県にかほ市平沢)

地元を一度離れた若者が再び地元へ戻ってくる理由やきっかけは、やはりその個人のそれぞれの思いつきがなければ始まらない。
なんて当たり前の事を思う時。
逆に言えば、地元を持つ他方への移住者にとって、どこか今と違う場所での生活を考える時に、地元という選択肢は必ず頭のどこかにはあるはずだ。
今回の鳥海トライブ(鳥海山の住人)は、にかほ市のkncレザーファクトリー、そしてkncダイナーのオーナー木内正信さん。
自身で製造販売を行う革製品専門店と、クラフトハンバーガーをメインとしたカフェ&バーを掛け合わせた他に類をみないアメリカンダイナー調の素敵な店舗の店主である。
細部にまでこだわったおしゃれな店内
 
彼は元々モノづくりが好きで、ヘンプを編んだり服のリメイクをしたりを日常的に生活に取り入れるタイプ。
関西で建築関係の仕事に就いていた21歳の頃に革細工と出会い、そのアート性や制作の自由度、そして豊富な実用性など無限の魅力に気づき、自分の身の周りの世界から自分の手で作り上げるという自身の性分にドンピシャりとハマり趣味としてのめり込んだ。
好きこそ物の上手なれ。
みるみるうちに腕を上げ、近くの古着屋で委託販売を始めて2年ほど経った頃、その古着屋が店を閉める事になり、それまで世話になっていた店長から
「自分で店をやってみたら?ないものはあげるから」
という一言があり、それまで勤めていた会社を辞め自分の店を持つ事に。
店舗の奥にはオリジナルの革製品が並ぶ
オーダーメイドや修理にも対応している
 
自分が店主となり経営者となり7〜8年、その間に家族ができ、自身のブランドにもファンを増やしていった。
そんな中、店舗移転の事情ができ移転先を探す時期と、子供が小学生にあがるタイミングが重なり、移住の選択もあるかなと頭をよぎる。
それまで特に考えた事もなかった地元にかほ市への移住という選択は、地元の友人が誇らしげに語る「にかほ自慢」だったという。
インターネットで探せばでてくる移住者向けの情報なんかよりずっと説得力があったに違いない。
さらに調べると、にかほ市の移住者への支援、取り組み、医療機関の補助(高校生まで医療費無料など)はこの先の子育ての環境としては申し分なく魅力的で、家族を連れ地元にかほ市への移住を決めた。
周りのサポートもあり新居も新店舗もあっという間に決まり、にかほ市に革製品専門店「kncレザーファクトリー」が誕生する。
地元に戻り店を構え4年、人口比率も人との関わり方も全く違う地で、店づくり、ブランドプロモーション、インターネット販売、カフェ営業、これまでの経験と活動をフルに活かして、地元の仲間達の応援、サポートを受けながら、自身のブランドファンや革製品自体のファンを増やしてきた。
肝に銘じましょう
メニューブックもオリジナル革仕様
 
そして、昨年新たにクラフトハンバーガーをメインとしたカフェ&バーの機能をプラスした新店舗への移転が完了。
店舗の細部にまでこだわった内装を見てほしい。
どっちを向いてもこだわりアイテムが
きっと時間を忘れて楽しめる
 
大人も子どももワクワク
カウンターもかっこいい
そんじょそこらじゃ味わえない美味いハンバーガーにかぶりついてほしい。
このボリューム感、サイドメニューも充実
あとはかぶりつくだけ
ちゃんとHow toもあるよ!
そして革製品の魅力、kncスタイルを思う存分感じとってほしい。
革好きのお客様には飲食店の楽しさを、飲食に来られるお客様には革の魅力を。
自分の世界は自分で創る。
にかほ生まれの根っからの表現者はアートし続ける、挑戦を決してやめず、学ぶ事を決してやめない。
魅力ある街には、魅力ある店がある。
魅力ある店には、魅力ある人がいる。
街はいつも人が創るものだから。
今後も進化し、学び続けるであろう、kncスタイルから目が離せない。
何やらコラボ商品の企画を悪巧み中

Report & Author / 松本 学

knc Leather Factory HP http://www.knc-lf.com/
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【Editor’s Note】

細部までこだわり抜いたアメリカンダイナー
店内奥には革製品、こだわりの雑貨がずらりと並ぶ
通勤で通る道沿いに、ある日アメリカンなお店ができた。どうやら革屋さんkncが近所に移転してハンバーガーをやるらしい。コロナ真っ只中で新しい飲食店?
あれよあれよという間に開店。ネオンチューブが田舎の夜空に眩しい。

ネオンチューブが秋田の夜に眩しく光る

遡ること4年前(2017年)、近所の食堂だった建物が日に日にアメリカンになっていく。
どうやらAターンした若者が革屋さんを始めるために自分でお店を直してるらしい。
早速会ってみると、奈良から奥さんと子どもを連れて帰ってきたとのこと。
仁賀保で革屋さん。生業として成り立つのか…。
モノづくりには、その人の人となりが現れる。彼のつくるモノにも、職人としての彼の個性が宿る。

革製品を生業とした確かな技術
オーダーメイドもOK!

 

一つ言えること…彼は決してブレない
高校卒業後、彼は就職で関西へと向かう。もともとモノづくりが好きだった彼は趣味で革細工を始める。
思いの外、周囲の評価が高かったため、近所の古着屋さんで委託販売をしてもらうことに。
その後、そのお店が閉店することになり一念発起。退職し、自分の店を持つことになる。
革小物を扱うお店をはじめ数年が経ち順調だった。その間、結婚し、子どもも生まれた。
子どもの将来のことを考えたときに、自分の生まれ育った秋田で暮らすことを具体的に思い描いた。
調べてみると、にかほ市は子どもの医療費無償や子育て福祉の面など、子育て環境が充実していることがわかった。
家族での移住(彼にとってはAターン)を決めてからはトントン拍子で物件が決まった。

それから4年。ネクストステージへと向かう。
にかほに戻るとき、飲食業に挑戦するとき、周囲は厳しい意見が多かった。

ボリュームと遊び心をがぶり
この夏話題の糸ピンス

最近はハンバーガーがきっかけで初めて訪れるお客様が多い。
そんなお客様が革製品に魅力を感じてくれる。
期待以上の相乗効果がある。
ハンバーガーが受け入れられ、革製品の魅力も少しずつ伝わってる実感がある。
新しいことに興味を持ってもらえる。そしてそれが継続して行くことが大事。
にかほには新しい提案を受け入れる土壌がある。

トイレに現れるスタイルと人柄
店もメニューも自分のスタイルを出しまくりの、こだわりまくり。
そんな店内で、私のお気に入りはお店のトイレ。かなりこだわって自分たちでつくったらしい。
少なくとも私にとってトイレを快適に気持ちよく過ごせることは、そのお店とスタッフの評価に直結する。
スタイルを貫けるメンタリティが人を惹きつけるのかもしれない。

Edit & Photograph / 齋藤 渉
>鳥海とライフ

鳥海とライフ

「ここで生きる」は様々な偶然と選択で出来ている
ここで生まれたから、ここが好きだから、ここしか知らないから、ここは居心地がいいから…

「生きること」は「暮らすこと」
「暮らすこと」は「なりわいをつくること」
そしてここにしかない「遊び」と「癒やし」を楽しむ
「ここで生きる」ことを選んだ人々の能動的ライフ
さまざまな鳥海とライフを発信します